『たいしたごどね!』という言葉

東京の先輩に電話したら痛風だと言う。苦しんでいた。

その時にふと思い出した言葉がある。



よく人は他人が苦しんでいる時に『たいしたごどね!』と言う。
有り難い言葉に聞こえる時と冷たい声に聞こえる時がある。



ラグビーには怪我がつきものだ。



ある試合で怪我した時にとき、ベンチから魔法のやかんが運ばれて来た。
熱い時はこの水が命の水なのである。
僕の視線には途中まで走って来ているのが確認出来たのだが手元に来ない。
他の選手が僕が飲むべき水を飲んでいるのだ。
僕が飲もうとした時には水が僅かしか無かった。
その時に聞こえて来たチームメイトの声も『たいしたごどね!』だった。


優しい男は多いのだが他人の怪我には無神経なのだ。



横浜で試合があったとき、足首を骨折した。
その時は聞こえて来た言葉が標準語だったが『たいした事ないよ!』だった。
励ます意味で言ってくれてるとは思うのだが、前向きと言うのか???
必ず言うウヤツがいる。
その時に痛みをこらえて病院に行ったが足首が螺旋状に完全に骨折していた。



また中央大学との練習試合で右耳が裂け生温さを首の当たりに感じた。
出血のせいだった。
練馬の病院に行った。


麻酔を掛けると時間がかかるので(多分)ノー麻酔で縫った。
一緒に行ってくれた先輩が帰りを急いでいたのかもしれない。(確認はしていない)
『麻酔しないよ』とお医者さん『えっ』と思ったがまだ下級生なので我がままが言えなかった。(我がままとは違うかな?)



耳なので縫っている時にグチュグチュと音が聞こえた。
僕を動かないように押さえつけていた仲間が『たいした事ないよ!』と言っていた。


『痛いのは俺だ!』と言いたかった。



ラガーマンは他人の怪我に対する感情表現が淡白なのだ!



またある時に紅白ゲームで味方の選手が手の指を骨折した。雨の日で表面に白い骨が出ていて中指が短くなっていた。
そこに砂が詰まっており、蛇口の水をかけながらタワシで砂を取り除いたのだ。
悲鳴を上げていた。


僕はその時に思った。へ〜〜、犬がくわえている骨に似ている!(不謹慎)


その時に聞こえて来た監督の声も『たいした事ないよ!』だった。

チームメイトの指は未だに短い、、、。



ラガーマンはこの言葉を安易に使い過ぎだ、、、。
俺も無意識に言っているかも?