花見

ある先輩から電話が入った。“花見”“花見”、“花見”さ行がねばダメだ!突然言い放った。
俺が何でこの先輩と花見しなければならないのか?と思った。
二人で桜の下を歩いている姿は想像しただけで気持ち悪くなる。
時間の無駄使い以外の何ものでもない。勿論断った。

先輩は“俺とじゃねえよ”“小澤先生を花見さ連れで行げ”と言った。

それはそうだ、、、。88歳の先生には来年の花見が出来る保証は無い。(失礼)

そう思った瞬間、小澤先生の入院先にハンドルを切った。そして外出許可をもらい新屋の桜並木を二人でゆっくりとドライブした。

電話してきた先輩、いつも提案はするのだが自分ではやりたがらない、、、。
しかし、先生と料理屋で飲む時の会計はこの先輩持ちが定番だ。
電話をもらった時、先輩は横手にいた。リモコンで後輩の俺を操作しているのだ。
後輩でありながら俺は、先輩のリモコン操作をいつも避難する。
そうするとこの先輩、“ワリ、ワリ飲み代は俺が払うから”となる。

湾岸戦争で金を出して人的リスクを背負わないで批判されたある国ようだ。

それはそれとして、小澤先生にとっては久々の外出だった。
先生が昔、毎夜飲み明かした川反、大町、通り町、有楽町、山王を思い出巡りした。
そこにこの先輩から電話が入った。“◯◯で刺身で酒飲みながら待ってれ!”と、、、。
この先輩は口は悪いが心根の優しい人である。俺は仕事があるのでノーサイドに戻った。
俺が帰った後、◯田先輩(秋田名産品販売代表取締役)も参加し、楽しい時を過ごしたようだ。

夜の9時、病院の看護婦さんから携帯に小澤先生の捜索願が入った。誘拐される心配は無い。誘拐した方が被害者になるのに、、、。