吉田典雄氏がやって来た。
吉田典雄、、、。秋田高校で高校ジャパンとしてカナダ遠征、そして早稲田で活躍し、その後秋田市役所で不動のスタンドオフとして正確なパス、キック、堅いデフェンス、ひたむきなタックルでチームを引っ張っていた。ラグビーグランドの貴公子的存在(ちょっと誉め過ぎ?)であった。
秋田に帰って来た頃はハイレベルの早稲田ラグビーを習得し、あか抜けたプレーをし、他のプレーヤーの力を引き出していた。
私より4学年下で学生時代は戦う事はなかった。
県内の社会人決勝戦は秋田市役所対秋田クラブの対戦が常に決勝カードだった。
秋田クラブでスタンドオフをしていた私は吉田君とはいつも対面だった。
肉離れの常習と練習不足の僕は突破を試みるが彼のタックルに阻まれていた。足の長かった僕の足下に(吉田君が短かったと言ってるのではない)いつも激しく飛び込んできていた。
その貴公子が早稲田の先輩、佐々木三知夫氏と友人の高橋氏とノーサイドに入って来たのだ。
彼のラグビースタイルと同様に真面目にひたすらに飲む。
『なべさん、もう一杯』を繰り返す。
気がついたらラグビー界の貴公子が酔っぱらったそのへんのただの父さんになっていた。
典雄ちゃん、酒でも対面で戦おうね!
帰りがけの後ろ姿は、酒と戦い疲れた黄昏れかけた中年の姿であった。
ラグビーというスポーツは戦いながら相手と会話をしている。
だから話し合わなくても何となくどういう人間かが解るのだ。
彼の真面目な真摯なプレーは僕の脳裏に焼き付いている。
ひとつひとつのプレーに練習で鍛え上げた努力の跡が、、、。
ミスターラグビー吉田典雄に乾杯!
旨そうに典雄ちゃん
幸せそうな愛すべき典雄ちゃん
秋田で有名な演歌師の山本サンがギターを弾いてくれた。
ノーサイドが終戦直後の酒場と化した。
東海林太郎の『国境の町』を熱唱
縦横の不揃いが面白い。